記念コンサート I「伝えられたもの、伝えたいもの」   

2008年 06月 08日

ジャン・アラン Jehan Alain (1911-1940)
連祷(Litanies・リタニー)

ジャン・ラングレィ Jean Langlais (1907-1991)
ダブル・ファンタジー

フェリックス・メンデルスゾーン Felix Mendelssohn Bartholdy (1809-1847)
アダージョ ニ長調

ヨハン・セバスティアン・バッハ Johann Sebastian Bach (1685-1750)
トッカータとフーガ ニ短調 BWV565

溝上日出夫 (1936-2002)
・「雲中供養菩薩」楽
・舞楽「雲中供養菩薩」(日本初演)

グスタフ・アドルフ・メルケル Gustav Adolf Merkel (1827-1885)
オルガン連弾の為のソナタ ニ短調 op.30
I. Allegro Moderato
II. Adagio
III. Allegro con fuoco - Fuga

オルガン 吉田徳子 吉田文

プログラムノート
名古屋オルガンの秋、初回のコンサート 「伝えられたもの、伝えたいもの」では、今までにカトリック五反城教会で名古屋オルガン友の会が主催をしたコンサートを通して私たちに伝えられたオルガン音楽を想い起こすと同時に又、これから私たちが伝えていきたいオルガン音楽もご紹介したいと思います。

個人的な思いとなりますが、名古屋オルガン友の会が解散される際、最後の事業として2002年1月6日に私が愛知県芸術劇場で演奏しました「ニュー・イヤー・チャリティーコンサート」の後援をしていただきました。
私は子供の頃から、度々母に連れられて五反城教会のオルガンのコンサートを聴きにいっておりましたが、その中でも特に印象深かったものが、マリー・クレール・アランが彼女の兄の作品である「連祷」を演奏したコンサートでした。この曲が弾きたかった事も、私がオルガニストになろうとした要因のひとつかも知れません。
そのような懐古、そして感謝の思いを込めて、当時この曲を「名古屋オルガン友の会」の最後の締めくくりの曲として選び、オルガン友の会に捧げ、演奏しました。
今回新しく「名古屋オルガンの秋」を始めるにあたって、今まで到着地点であったこの「連祷」を次の出発点としていきたい、との思いから、この曲を初回コンサートの最初の曲として選曲しました。

ジャン・ラングレィはアランと同世代の、盲目のオルガニストでした。デュプレの弟子としてアランとも同門下であり、その自由で個性的な音楽の言葉はアランのそれとも類似したものがあります。この、「ダブル・ファンタジー」も「連祷」と同じく2002年のチャリティーコンサート内でオルガン友の会を記念すべく、母と連弾したものです。

メンデルスゾーンの作品、そして言うまでもなくバッハのトッカータとフーガニ短調は、どちらも大変好まれて、この楽器で演奏されていたものです。
メンデルスゾーンのアダージョでは、優しいフルートの響きを、バッハの作品ではオルガンの典型的な響きとも言えるプリンツィパルの響きを、10月に3週間かけてペーター社の2人のマイスターの手で再整音され、完成当時の響きにほぼ近いと考えられる状態となったこの楽器で堪能いただきたく思います。

日本人の作曲家、溝上日出夫は、1980年代に「雲中供養菩薩」をテーマとしたものを2曲作曲しました。これらは彼の唯一のオリジナルのオルガン作品です。「雲中供養菩薩」とは、平等院の本堂の大日如来の周囲の壁に飾られている木彫りの菩薩群で、いずれもが雲に乗り、静かな合掌、持ち物を捧げ持つ、楽器を手にして奏でる、立って舞うなどの阿弥陀浄土の諸菩薩(聖衆)の様々な姿を現しているものです。西洋の宗教的なイメージが強いパイプオルガンの為に、敢えて日本人の宗教心を表す「菩薩」をテーマとして取り組んだこの作品を、私たちは、これから日本人として伝えて行きたいオルガン音楽として、まず、ご紹介したく思いました。

1992年には名古屋オルガン友の会が「名古屋オルガンの秋 ’92」と題したコンサートシリーズを主催しました。この4つめのコンサートで、母と私は当時は珍しかった連弾コンサートを演奏しましたが、その時に最後の曲として選んだ曲が、メルケルの二人のオルガニストの為のソナタでした。この作品は1857年に募集されたオルガン連弾の曲を対象とした作曲コンクールで一等賞を得たものです。メルケルは後にドレスデンの聖十字架教会のオルガニストとして従事しました。
このソナタには一楽章ずつ標題が掲げられています。

I. Allegro moderato (標題:詩編42, 6,7,8,10)
なぜうなだれるのか、わたしの魂よ なぜ呻くのか。神を待ち望め。
わたしはなお、告白しよう 「御顔こそ、わたしの救い」と。
わたしの神よ。わたしの魂はうなだれて、あなたを思い起こす。
ヨルダンの地から、ヘルモンとミザルの山から
あなたの注ぐ激流のとどろきにこたえて 深淵は深淵に呼ばわり 
砕け散るあなたの波はわたしを越えて行く。
わたしの岩、わたしの神に言おう。「なぜ、わたしをお忘れになったのか。
なぜ、わたしは敵に虐げられ 嘆きつつ歩くのか。」
II. Adagio (標題:詩編23, 1-4)
主は羊飼い、わたしには何も欠けることがない。
主はわたしを青草の原に休ませ 憩いの水のほとりに伴い 魂を生き返らせてくださる。
主は御名にふさわしく わたしを正しい道に導かれる。
死の陰の谷を行くときも わたしは災いを恐れない。
あなたがわたしと共にいてくださる。
あなたの鞭、あなたの杖 それがわたしを力づける。
III. Allegro con fuoco – Fuga (標題:詩編42, 12)
なぜうなだれるのか、わたしの魂よ
なぜ呻くのか。神を待ち望め。
わたしはなお、告白しよう
「御顔こそ、わたしの救い」と。わたしの神よ。
(新共同訳より)    

(吉田文 記)
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by principal8 | 2008-06-08 18:22 | 2007・名古屋オルガンの秋

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